[あ]


 合わせ歯(あわせ ば)
(意味:隣り合う歯車のように気の合うヒト、またその空間のこと。)
 ●使用例「偶然出会った旅人と一晩中語り明かした、まるで合わせ歯に会ったようだ」

 洗う白の指先(あらう しろ の ゆびさき)
(意味:家事や仕事を淡々と行う人々の手は、どれほど汚れていようとも美しい)
(有識者による一説:”洗う”の字が使われているように、元々は洗濯をするヒトを指しているとされる。)

 怒り肩に呼び風(いかり かた に よびかぜ)
(意味1:怒っている時に限ってよくない事が立て続けに起きるさま。)
(意味2:怒りを露わにしている人がいると、その場の空気が悪くなるさま。)

 夕燕の巣立(いーしぇん の すだち)
(意味:夕方から夜に向かうわずかな時間帯のこと。またその時間から外へ出かける事。)
※那国から広まりを見せ、主に那国周辺で使われる事が多い。

 乙衣(いつい)
(意味:女性の身支度のこと。)
 ●使用例「乙衣に手間がかかっているのだろう」
     「乙衣を邪魔するものではない」
(有識者による一説:「乙衣」は元々、化粧や衣服、着飾る装飾品を総じて指す言葉と言われている。)

 一線は名画の引き金(いっせん は めいが の ひきがね)
(意味:どれほど素晴らしい絵画でも、はじまりは一本の線だった。続けていくことこそが大切だということ。)
(有識者による一説:美術を志す学校にこの言葉を掲げている場所もあるとか)

 一焼、二煙、三味良(いっしょう、にえん、さんみりょう)
(意味:一度や二度試して諦めては本当の良さがわからないだろう)
(有識者による一説:煙草の一口目はただ熱く、二口目には煙たいが、三口目ともなれば口が慣れて良い味が楽しめるというもの)

 岩の中に珠を見る(いわ の なかに ぎょく を みる)
(意味:材料から完成品を想像し、それを可能にさせる優れた職人の腕のこと)

 ヴィータが足りない(う”ぃーた が たりない)
(意味:いきものが体調不良を起こしている様、または気絶する様子のこと)
 ⇔対義語「ヴィータが入る、ヴィータが足りる」
(意味:不調から回復する様、または体調を持ち直す様)

 写し問答(うつし もんどう)
(意味1:単純な問題であっても侮ってはいけない、簡単であればあるほどヒトの考えが反映されやすい)
(意味2:どこかで見たことがあるような問題のこと)

 生まれた魂、笑みの才(うまれた たましい、えみ の さい)
(意味:笑い楽しむ才能は、生まれ持っているものであるというもの。)

 裏憶え(うらおぼえ)
(意味:記憶ではなく、身体が覚えているさま=身体的反射反応)

 枝葉の結び目 (えだは の むすびめ)
(意味:続いている2つの境目がわからず曖昧なこと)

 越島(えつど)
(意味:大陸を越えるほど、遠くまでいくこと)
(有識者による一説:まだ大陸間の国交が多くない時代に生まれた古い言葉、年配者はより馴染み深い傾向にある)

 折れる大樹の向かう先 (おれる たいじゅ の むかう さき)
(意味:動かないものだからといって粗相を働いていい理由にはならない。物言ぬものにも敬意払うべきだ。)

 怨叉瘢痕(おんさはんこん)
(意味:長く年月がたち傷跡が薄くなったとしても、拭う事ができない負の感情に囚われているさま)
※正しくは『怨叉瘢痕、裏憶え』と続くとされる。
 ●使用例「あの男は、 怨叉瘢痕 に囚われている。」
     「怨叉瘢痕の念が強い」

 

 


[か]


 合双の鏡 (がっそう の かがみ)
(意味1:似ている者同士を指す)
(意味2:鏡の前に立つのなら自分の状態をよく観察する事だ。新たな気付きもあるだろう。)

 影の大皿、身の小鉢 (かげ の おおざら、み の こばち)
(意味:空の大皿より、中身の入ってる鉢がよい。虚勢をはっても意味がない。)

 風のはじまりは地の底 (かぜ の はじまりは ちのそこ)
(意味:この世界で起きた初めてを考えても、誰にもわかるはずがない。風の始まりが分からない様に。)

 刈りたての草みあふるる(かりたての くさみ あふるる)
(意味:刈りたての草原はなんとも言えない臭いを放つ。対人で使う場合「貴方自身が臭う」という仄めかしに使われる。)
※ユィンヤンド発祥の言葉

 くすんだ篝火(くすんだ かがりび)
(意味:十分に役割をこなして消えていくもののこと)

 口結び(くち むすび)
(意味:美味しくないものや酸っぱい者を食べて苦悶する表情のこと)
※顔全体がくしゃくしゃになった様子から「顔結び」とも。
↔︎目開き(め びらき)

 首輪を噛む獣は主を見る (くびわ を かむ けもの は あるじ を みる)
(意味:他者からの訴えは、相手の地位に関わらず、まず耳を傾けるべきである。)
※使用数が少なくなった類語
 ∟枷で遊ぶ奴隷は主を見る (かせ で あそぶ どれい は あるじ を みる)

 決心の壱打 (けっしん の いちだ)
(意味:場を打開する起点となる行動のこと、または不意をつく行動のこと)
※使用数が少なくなった類語
 ∟気狂いの壱打 (きぐるい の いちだ)

 格子を覗けば邪が見える(こうし を のぞけば じゃ が みえる)
(意味:遮られていることにも意味があるため、その一線をわざわざ越えるべきではない。)
※立ち入り禁止の場所に行って返ってこなかった者のことをいう場合もある。「彼は格子を覗いて邪に見つかった」。

 越えるために後ろに下がれ
(意味:好機を見極めるべきである)
(有識者による一説:飛び越える、または困難に対して使われる語彙である)

 



[さ]


 山頂の歌唄い、声を聞くのは雲ばかり (さんちょう の うたうたい こえを きくのは くもばかり)
(意味:他の事象に縛られる事なく独りきりで何かをするさま)

 三又の先は行き止まり (さんまた さき は いきどまり)
(意味:沢山の選択肢を残した状態は、それは行き止まりに進もうとしてるのと同じこと。)
(有識者による一説:昔は「三又」は「三又海路」という記載だったそうだ。おそらくタラッタの北側の海域の事を言っているのだろう。)

 Gのゆく道、歩く道 (じぃ の ゆくみち、あるく みち)
(意味:流通に使われる道は、誰しもが歩むことができる道である。もちろん貴方も。)

 字は悠久の友であり敵ではない (じ は ゆうきゅう の とも であり てき ではない)
(意味:字は他者の考えを伝える、時に字で綴られた警告は貴方の命を守る。このことから勉学を怠るべきではない。)

 職人、諸君が創り出す(しょくにん しょくん が つくりだす)
(意味:職というものは、周りの要望、欲、願望等があってはじめて成り立つものであり、それを忘れてはならないということ)

 進断の要(しんたつ の かなめ)
(意味:ことを起こす際に必要不可欠な、自身の手になじむ道具、または武器のこと)
※用語
 ∟進断の担い手:良い道具や武器を作る腕のいい職人のこと。
(有識者による一説:”進断”という語には「決戦の地に立ち悪い流れを断ち切る」という意味合いが強い)

 過ぎた果実、巡りの酒(すぎた かじつ めぐり の さけ)
(意味:誰かにとって不必要なものは、また別の誰かにとって必要な物であるということ)
(有識者による一説:ある果実が発酵し、酒となった様を言っている。)

 空きっ腹に行き止まり(すきっぱら に いきどまり)
(意味:よくないことは立て続けに起こるということ。)
(有識者による一説:食べ物がない状態の旅人を指した言葉)

 優れた長も頬傾ける(すぐれた おさ も ほほ かたむける)
(意味:どれほど優れた者であっても、首をかしげて不思議がることもある。)

 鋭い刃物に燃ゆる衣(するどい はもの に もゆる ころも)
(意味:どんなに素晴らしい道具を用意しようとも、正しい時に使わなくては意味をなさなくなってしまうこと)
(由来:異国から持ち帰った布に誤って火がついてしまった。自国の鋭い刃物で、異国の布を切るかどうか迷っているうちに布全てが燃え、灰になってしまったという逸話から。)

 全ての忠告を聞いた城は、もはや城でなくなる
(すべての ちゅうこく を きいた しろ は、もはや しろで なくなる)
(意味:与えられる忠告は様々あり相反するものもある、方針は自らが決めるべきである)
(有識者による一説:カゲングのとある城主がおこした失敗が元となっている。)

 赤染のヒト(せきせん の ひと)
(意味:近くにいるだけで体のヴィータが強く赤く反応するほど愛しい他人のこと)
(有識者による一説:ヒト型の種族でいう”頬が赤くなる”と同じ意味合いだとされる。)
→ここから”染まる”という言葉が「色恋」を指すようになった地域も存在する。
 ●使用例「赤染のヒトが待っているから急いで帰らなくては」
     「友人が染まってしまった、ぬけがけだ」

 相反朱蒼(そうはんしゅそう)
(意味:まったく交わる事の無いさま)→一例:水と油
(有識者による一説:朱はヴィータ、蒼はモルスを表しているのではないか)

 空ゆく影、夢見て鳥を追いかける (そら ゆく かげ、ゆめみて とり を おいかける)
(意味:常にひとつを念ずる者は、時が来れば誰よりも早く行動へと移す。)
(有識者による一説:集団で鳥の夢を見る事象から発生したと考えられる。)

空往く翼は爪を知らない(そら いく つばさ は つめ を しらない)
(意味:翼は空を跳ぶためにあるもので、爪は地面をつかむもの。他人の苦労はただでさえ気付き辛いものだ。)
(有識者による一説:この言葉に表れる”翼”と”爪”はパモを指しているという文献が確認されている)

 

 


[た]


 種の巡り (たね の めぐり)
(意味:その種族やいきものが、広くながく分布するさま)

 駄歯者(だば もの/だば)
(意味:何も成し遂げられない者、または役立たず。侮蔑の意味が強い。)
※「駄歯」のみで使われる事も。

 騙し奴の化かし合い(だまし やっこ の ばかし あい)
(意味:相手を騙そうとする悪人同士が鉢合わせると、延々騙し合うことで先に進まないように、互いに譲らない状況は何も生み出さない。)
※茶化した派生語
 ∟騙し奴の馬鹿試合(だまし やっこ の ばかしあい)

 小さきものは北風を食べる (ちいさきもの は きたかぜ を たべる)
(意味:この世に起こる大きな事柄はな、小さな事の積み重ねでおきている)
(由来一説:ラウヴォルとシャマルスタットの間を流れる北からの冷たい海風が、タラッタ島に着くまでに暖かい風に変わってるのは、モフマンの里にいるものが風の寒さを食べたからだ)

 知は畏怖の根底(ち は いふ の こんてい)
(意味1:ある失敗を引きずって、いつまでもくよくよしてしまう様)
(意味2:知識者がある特定の恐怖を覚えてしまうこと)

 手のひらの大海 (てのひら の たいかい)
(意味:他人の語る夢物語ほど、現実味がないものはない。)
(由来:海を初めて見た内陸の民が海水を掬い持ち帰ったが、誰も信じる者はいなかったという逸話から)

 天下知上(てんかちじょう)
(意味:起こりうる全てを丸く収めるという事は難しく、成し遂げられづらいものであること)
※有識者による一説:知上(ちじょう)=知識や経験といった積み重ねを越えたもの。神の域であるとも言われる。

 

 


[な]


 成す事人に覚えず (なすこと ひと に おぼえず)
(意味:大きなことを成す人は人が知らぬ所で努力をしているものだ)

 布に巻かれた幼子(ぬの に まかれた おさなご)
(意味:ささいなことで、身動きが取れなくなる様)

 

 


[は]


 果てはさりとて背後にあり(はて は さりとて はいご に あり)
(意味:求めてやまないものは、案外身近にあるさま)

 歯向かう勇気がないならば、歯を見せるべきではない
 (はむかう ゆうき が ないならば、はを みせる べきでは ない)
(意味:立ち向かう勇気さえ湧かないのなら、最初からその素振りさえ見せないほうがいい)

 氷山氷菓、山火篝火 (ひょうざんひょうか、さんがかがりひ)
(意味:環境で賄えるものは、環境を利用するべきである)

 踏んで固まる歩の軌跡 (ふんで かたまる ほ の きせき)
(意味:この地上のあらゆる場所は、決して目には見えずとも、人々や生き物が培ってきた歴史がある。)

 星の瞬き 命の煌めき(ほし の またたき いのち の きらめき)
(意味:空に瞬く星たちを見上げれば、世界に生きる命たちを感じられるという例え)

 星を眺めて砂数え (ほし を ながめて すな かぞえ)
(意味:星の全てを数える事は地上の砂を全部数えるんと同じことである。身の丈越えた無茶はするべきではない。)

 

 


[ま]


 迷子の潮流れ(まいご の しお ながれ)
(意味:道に迷った者は、潮に流されるようにあてもなくあちこち歩き回ってしまうというもの)
(有識者による一説:潮の流れは細かく複雑で、途方もないというメルハピナの民の教えから発生したとされる。)
※比較的新しいことわざ

 万戦の変(まんせん の へん)
意味:意味のない争いを繰り返していると、些細な要因で共倒れになること。
※第三勢力に混ざられ、共倒れになってしまった実際の戦争から生まれた言葉

 見知った黒の知らぬ顔 (みしった くろ の しらぬかお)
(意味:たとえ慣れた環境でも油断は命取りになりうるさま)

 身近な筆、果ての苗木(みぢか な ふで、はて の なえぎ)
(意味1:身近にあるものほど、有り難みが薄れてしまい、遠くにあるものにばかり目がいってしまうこと)
(意味2:世界のどこかに自らが求めているものがあると強く信じること)
(有識者による一説:旅をしている者に尋ねると”意味2”が返ってくることが多く、定住している者に尋ねると”意味1”が返ってくることが多い、不思議なことわざ。)
→類語「過ぎた果実、巡りの酒(すぎた かじつ めぐり の さけ)」

 霧中三策 (むちゅうさんさく)
(意味:霧に囲まれた場所は危険が多い、向かう場合は策を三つ用意すべきという教え。)
(有識者による一説:この文で言う霧とはゲネヴ等の危険区域のことである。)

 霧中三策、帰路二策 (むちゅうさんさく、きろにさく)
(意味1:霧の中で3策中の2策使った場合、頃合見て帰る選択を取るべきである。)
(意味2:霧からの帰路は決して油断するべきではない。3策にあと2策足して、5策は持っておくべきである。)
※意味1.2.それぞれ諸説あり

 目開き(め びらき)
(意味:美味しいものや新しい味にであった時の喜びと驚きの表情のこと)
 ●使用例「料理があまりに美味しくて、目開いたまま平らげてしまった」
↔︎口結び(くち むすび)

 目を閉じぬ者に朝は来る(め を とじぬ もの に あさ は くる)
(意味:どんな状況にあっても、諦めないことが大切である。生きていれば朝が訪れる。)

 

 


[や]


 夜の布を被り語らえ、朝の風に吹かれ別れるとしても
(意味:気の合った旅人同士で語るの楽しいものだ。次に会えるのがいつになるか分からないとしても。)

 夜を歌えば朝になる (よる を うたえば あさ に なる)
(意味:夜通し続けられるような事に夢中になってると、朝が来るのが早い。)

 

 


[ら]


 竜の理 知らずも道理 (りゅう の ことわり しらずも どうり)
(意味:この場に居ない相手の常識は想像するしかない)

 竜の理 知らずも道理、覚え備えて時を待て (―おぼえ そなえて ときを まて)
(意味:知らぬ物事を放っておくのではなく、知ろうとする姿勢を持つ事が重要である)

 列荒野を行く(れっこうや を いく/れつ こうや を いく)
(意味:ひとつの目的に向けただひたすらに歩き続ける集団のこと)
(有識者による一説:戦争に向かう兵士、または兵列を表した言葉だと言われる。)

 

 


[わ]


 禍膨れて実を結ぶ (わざわい ふくれて み を むすぶ)
(意味:災いをそのままにしておくと良くも悪くも膨れ上がってしまうこと)

 忘れるな、雲はいつだって 我ら人の上にある。
(わすれるな くもは いつだって われら ひとの うえにある)
意味:悪行などに手を染めようとする者に対しての、戒めの言葉。
※ユィンヤンド発祥の言葉

 私が死んだ後に泣くのなら、生きる私の前で泣いてくれ
(わたしが しんだ あとに なくのなら、いきる わたしの まえで ないてくれ)
(意味:死んでしまった者にできることはない、生きているうちならば慰め話することもできる)

 和のうねり(わのうねり)
(意味:些細なことで起きた仲違いや気持ちの行き違いを例えたもの。)